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デザイン経営で考えるスモールビジネス。個人事業主か?会社設立か?<連載> 編集部コラム

デザイン経営で考えるスモールビジネス。個人事業主か?会社設立か?

会社に勤めて働くこと、ジブンで事業を始めること、
これには大きな違いがある。

人に誇れるようなアイディアや技術、能力を活用して起業し、多くの人にサービスを提供したいと考えている人は少なくありません。しかし、「どこかの会社に勤めて働くこと」と「事業を始めること」とは、かなり大きな違いがあるものです。また、最近よく耳にするスタートアップという言葉があります。これは、日本では「立ち上げや起業したての会社」といった意味で使うことが多いようですが、起業することについての知識や経験はほとんどない人が多いため、このスタートアップも、かなり勇気のいることでしょう。

また、最近では「マイクロ起業家」や「ひとり起業」といった、小規模事業を表すスモールビジネスが注目を集めています。そこで、本サイト『ジブンデザイン』では、起業やスモールビジネスを始める際の不安や疑問にお応えすべく、ビジネスを成功させるポイントをしっかり押さえながらも、皆様が無理のない起業を目指せるようコラム形式の連載で詳しくお伝えしていきたいと思います。とはいえ、この編集部コラムも、このジブンデザインのサービスも、デザイナーが主体です。そこで、今回のテーマ「スモールビジネスでの起業は個人事業主が有利か?会社設立が有利か?」といった最初に突き当たる選択肢を『デザイン経営』の観点から考えてみたいと思います。

そして、このデザイン経営の観点は「まず全体の流れを捉えて、そこから段階的に個々のプロセスを踏んでいくこと」を重視します。まずは「そもそも、起業とは何なのか?」「何のための起業なのか?」といった大切なところから掘り下げ考えてみましょう。

スモールビジネスを始める前に
起業の必要性を考える。

そもそも、起業は「事業を始める」ということですが「必ずしも会社の社長になる」ということを意味しているわけではありません。それは「事業を始めるために、会社という法人が必要とは限らない」からです。個人事業主という形でスタートすることもできますし、実際に建設業やITエンジニア、デザイナー、芸能関連などは、個人事業主として活動している人の割合が高いです。むしろ個人事業主の方が気軽にスタートでき、様々な法律上の制約が少なく、資金や人員の備えという意味でリスクが低いというメリットがあるからです。また医療や介護などの一部の業種を除き、ほとんどの職種で法人を設立しなくても、個人事業主として起業できることになっています。ですので、まずはこの形から「スモールビジネスを始めていく」というのも良い方法なのです。

一方、すでにある程度「個人として仕事をしてきた」とか、今の事業規模を考えると「最初から会社組織にして開業した方が良い」と考えることもあるでしょう。実際に多くの場合は「起業」と言えば「会社設立を含む事業の開始」という見方がなされています。また、開業に当たって適用される公的な補助金や助成金などの制度では、法人を対象としていることが多く、開業場所や自治体によって様々なメリットやサービスを受けられることもあるのです。ですから起業に当たっては、そもそも個人事業主になるのか?会社をつくるのか?というプランを最初にしっかりと考えておくべきなのです。その決定によっては、「次にすべきこと」が、かなり違ってくるからです。ここではフローを紙に書くなど、起業という考え方も、アイディアも、「ひとつのデザイン」として捉え、しっかり「見える化」すると起業の必要性を考える良いキッカケとなり、スモールビジネスを始める前の準備として、とても大事になるということをご紹介します。

関連記事:小資金で始められるスモールビジネスそのメリット・デメリットとは?

スモールビジネスでも、起業までのロードマップをデザインする

個人事業主として起業するには、「個人事業の開業・廃業等届書」を税務署に提出するだけで済みます。これは簡単な書類で、税務署に直接行って、その場で書類作成、提出することもできますし、郵送やオンラインでも提出することもできます。マイナンバーや本人確認書類、印鑑を持参すれば実質的に誰でもすぐに起業できるのが特徴です。このようなことから「資金面の手軽さ」や「よりスピード感を重視するようなスモールビジネス」をすぐに始めたい人には個人事業主というスタートも良いでしょう。

また、スモールビジネスでも会社組織をつくって起業する場合には、いくつもの手続きが必要となります。税務署や法務局、労働基準監督署、年金事務所、公証人役場といったところで、それぞれの管轄庁が求める手続きをしないといけません。単に窓口で書類をつくって出せば良いわけではなく、事前に準備をしておかないといけないものもあります。たとえば、定款をつくり、公証人役場で認証を受ける必要があります。認証付きの定款を各所で見せることで、それぞれの手続きを受け付けてもらえるようになります。法務局では、法人としての設立登記をすることになります。

その他にも健康保険や厚生年金保険、労働保険の加入手続きを異なる場所で行います。こうした手続きには、会社印や定款、登記簿謄本などの書類がいくつも必要となりますので、それぞれでしっかりと必要物を確認しておかなくてはなりません。こうした方法でスモールビジネスを始める人は事前に「ロードマップ」を作成しておくと良いでしょう。このようなすべき手続き等も、このフローの中に加えておけば、一目見て行う作業をすぐに確認でき、ミスもなくなってきます。

スモールビジネスでも、「見られる」という観点は必要になる

スモールビジネスでも起業というのは貴重な経験です。デザイン経営の観点からみた考え方のように、事業プランごとデザイン化して、「考え方」そのものを全体的に掘り下げていくと、ビジネスプランも良い方向へと繋がります。また、起業をする際に気になる「手間や労力、資金面」という意味では、会社設立の方がずっと大変です。何故なら、個人事業主としてのスタートアップであれば、半日程度ですべての手続きが終わりますし、経費もゼロに近い状態からでも始められます。一方で、会社設立となると法人としての手続きや準備を「自分で手続きをやる」にせよ、「専門家に依頼する」にせよ、時間もお金もかなりかかり、労力という面でも負担が大きくなるため、会社設立へのハードルは高いように思えます。

それでもスモールビジネスとはいえ、やはり個人事業主として起業するよりも会社をつくった方が、ビジネスや事業としてはメリットが大きい部分もあり、起業をする際にはじっくりと検討する必要はあります。会社設立をする際のメリットとしては「企業、法人、会社」という、「安心感や信頼感」を得られるという点も、いちばん大きいところです。

また、消費者にとっても「個人事業よりも会社という組織の方が安心」できますので、同じようなサービスを提供しているのであれば、会社の方を選ぶわけです。それだけ売上も上がりやすく、利益率も高くなる可能性は上がります。スモールビジネスにおいても、取引先からの信頼という点では大きな違いがあります。たとえば、売掛での仕入れを許可されたり、大量仕入れに対応してくれたりすることもあるでしょう。法人に限定しているサービスもあり、個人事業主は対象外となることもあり得ます。

そして、スモールビジネスから始めても忙しくなり、従業員を雇う時にも会社組織としての方がメリットは大きいです。個人事業主でも従業員を雇うことはできますが、やはり税制などの面でも限界がありますし、そもそも健康保険や労働保険の加入が難しいというようなハードルも多くあって、人を集めるのも大変になります。その点、会社であれば、多くの従業員を雇うということを前提に様々な制度やサービスがつくられており、人を集める手段や選択肢も多くなるといったメリットがあります。

最後に

スモールビジネスでは、資金面の手軽さ、スピード感が重要なポイントになります。多くの資金を集める必要がないことやフットワークが軽く自由な働き方ができるといったこともあり、副業をはじめ、参入が容易であるという点でも、アイディア次第で気軽にビジネスが始められます。資金面やフットワークの軽さなどのメリットを活かしながら、ビジネスのためだけでなく「好きなことを仕事にしたい」「自由に稼ぎたい」といった新たなライフスタイルも、いま注目される働き方です。あくまで気軽なスモールビジネスという点や自由度の高さという点では、個人事業主という選択肢の方がメリットは多くなると言えます。

これまでお伝えしたよう、小資金で始めるスモールビジネスなら、それほど開業までのハードルも高くありませんし、事業内容によっては、銀行等から融資を受けずとも、自己資金のみで始めることも容易でしょう。さらに、ジブンデザインのようなサービスをうまく活用すれば、開業資金だけでなくランニングコストも少なく抑えることが可能です。また「自分一人で行うスタートアップ事業」であれば、人を雇うコストすら不要となります。

このようにデザイン経営の観点から、まず全体の流れを捉え「個人事業主と会社設立」のどちらにすべきかを考えながら、事業プランを具体的に練ってみてはいかがでしょうか。ただスモールビジネスにせよ、スタートアップビジネスにせよ、お客様から見られています。ビジネスである以上、常に「見られる」という意識も大切にしましょう。

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